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導入事例一覧

『物流機能の全体最適を「名人シリーズ」で推進。 』

株式会社 日本ホールマーク
  • 日本ホールマーク
  • 株式会社 日本ホールマーク
  • 導入パッケージ伝発名人 for Windows
    導入:2008年3月〜/取材:2009年3月

バースデーカードやクリスマスカードなど、各種グリーティング関連商品のデザイン企画、製造、販売を行う株式会社日本ホールマーク様。同社では、新センター(野火止流通センター埼玉県新座市)の設立を機に「物流在庫名人」を導入いただき、商品特性に由来する在庫管理の課題と、大きな出荷波動へのスムーズな対応を実現いたしました。本事例は、在庫管理のみならず、物流機能全体の最適化を図った、いわゆるWMS(WarehouseManagementSystem)の推進モデルとしても評価することができます。

  • 商品特性による管理体制の難しさ

    各種イベントや年間を通じて愛用されるメッセージカードをはじめ、カレンダー、レターセット、祝儀袋など、全商品ラインナップのうち、およそ半分がクリスマス、入学祝いなど季節性を反映した商品となるため、アイテム数は、少ない時期で2,000アイテム、最大では2,700アイテムと大きく変動します。

    季節性によるアイテム数の大きな変動は、商品そのもののライフサイクルの早さを物語ります。季節商品では年に9回、定番の通年商品でも年に4回、新商品が発売されます。そのため、同社の商品開発・ライセンシング部では、一アイテム毎の販売実績や需要予測から商品の改廃を決定し、さらに、年3回の製品カタログの改定のタイミングに合わせ、流通センター側でも、新商品の受入や既存商品のロケーション移動、入れ替え等の作業が行われます。

    ロケーション管理の難しさに加え、年間を通じた出荷量の波動も大きく、たとえば2007年の実績では、最も少ない6月の68,373行に対し、最大となる10月では174,625行とおよそ2.5倍もの開きが見られます。

    熟練者に頼った物流体制をあらためる

    物流側の改善ポイントは明らかでした。新商品の入荷やロケーション変更が頻繁に行われる物流現場において、誰が見てもわかる商品管理体制の構築にあります。

    かつての「在庫管理」「ロケーション管理」の手法は、ロケーション札と品番札を活用したトヨタのカンバン方式からヒントを得たものでした。欠品が発生すると、在庫担当者にロケーションナンバーを伝え、さらに、品番札の提出により該当の商品補充する仕組みを採用していました。しかし、在庫担当者でなければロケーションがわからないため、補充数が多くなる繁忙期には 、補充までに大きな時間を要していました。担当者が休みをとったばかりに、たったひとつの商品を一日がかりで探し回ったこともあったそうです。

    「アイテムと保管場所を紐づけ、システム上でロケーション管理を行えば、商品知識がなく、保管現場に不慣れでな人でも、指定の商品を補充することが可能です。そうすれば、在庫があるにもかかわらず、出荷できないといった最悪の事態は避けられます。しかも、今から3年ほど前、熟練した出荷担当者の半数近くが定年退職を迎える問題にも直面したのです。在庫管理 、出荷ともに、誰にでもできる物流体制の構築は急務でした」と語る業務部の佐野さん。

    問題の解決を検討していた当時は、みずほ台(埼玉県富士見市)に流通センターが置かれていました。ところが、家主側の都合で移転せざるをえなくなり、新センター設立を機に、本格的な物流管理システムの導入を決意しました。

    在庫・出荷状況を“見える化”する

    現在の野火止流通センターの稼働は、平成20年の5月のこと。新たな物流体制の構築に際し、基本機能がセンターでの業務にマッチしたユーザックシステムのWMSパッケージ「物流在庫名人」をご採用いただきました。

    ただし、かつての物流体制が、まったくシステム化されていなかったわけでありません。ERPを活用し、物流プロセスを処理していましたが、所詮は財務処理機能の流用であるため、センター内のどの場所にどの商品をどれだけ在庫しているのか、まったく判断できない状況でした。したがって、物流管理に必要な機能については、現場担当者の経験と判断に依存していたのです。そこで、「WMS」という概念から、ERPと倉庫管理機能の分離を検討。独立した物流サーバを機能させるため、まずは、新しい業務プロセスを構築し、「物流在庫名人」をカスタマイズすることにより、問題の解決を図りました。

    つまり、センター内での商品と人の動きを基本とした業務プロセス重視型のシステム運用であり、その中での在庫や出荷状況を“見える化”することが、このプロジェクトの最大のポイントです。

    ボトルネックをつくらない出荷体制

    業務プロセスを反映したカスタマイズとは、主に「2本立て出荷ライン」への対応です。同センターでの出荷ラインは、卸売店向けの大量出荷と、小売店向けの小口出荷の2つに分かれています。年末商材の大量出荷の時期ともなれば、大量の卸売店向け商品で出荷エリアが埋め尽くされます。スムーズな出荷体制を実現するには、小口出荷の進捗も配慮した“ボトルネックのない業務フローの構築”が求められます。

    解決策として、卸売店向けの出荷システムは、従来のシングルピッキングを基本とします。これに対し、一方の小売店向けの出荷ラインには新たにコンベアを導入した集品・出荷システムとしました。ゾーン区分したピッキングエリアの中で、コンベア上を流れる1オーダー分のケースに商品を投入していく手法を採用しました。

    新センターでの在庫管理、出荷業務を含めた全体の物流体制における「物流在庫名人」の運用効果は以下の諸点です。

    ●誰にでもできる業務体系
    ハンディターミナルを活用した、ピッキング、出荷検品の構築により、各業務の実績データが一元管理でき、熟練者でなくても在庫、補充管理が可能になった。

    ●欠品防止による迅速な出荷
    以前は、ピッキング時の欠品発生で商品補充依頼を行っていた。「物流在庫名人」では、出荷伝票とピッキングリストを前日に出力し、この時点で、在庫引き当てと同時に補充リストの出力が可能。

    ●合理的な人員調整
    以前は、一日の出荷量からその日に必要な作業者数を判断していた。新システムの運用により、一人当たりの生産性に基づいた最適な人員を割り出すことができる。

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    物流在庫名人」の導入は、熟練従業員の定年が契機であり、省人化を目的としたものではありません。事実、センター移転前の人員、延べ35名に対し、現在は34名で稼働しています(平均稼働率は約70%)。簡単に省人化できない理由は、出荷時の梱包作業や流通加工にどうしても人手を要するためです。出荷量の波動に対し、単純に作業者数の見込み調整だけで対応していく体制では、センターとしての機能効率にロスが生じてしまいます。今回のシステム構築では、作業エリア毎の人員を最適化することにより、物流機能とコストとの間のバランス調整が可能となりました。すなわち、生産性を図ることができる物流体制の推進です。

    『物流在庫名人』は、導入コスト、システム構築のしやすさ、現場改善への適応性が大きな魅力でした。稼働からまだ一年が経過したばかりであり、今後さらに、システム運用の効果が期待されます」と佐野さんは語ります。さらに佐野さんは「システム稼働からまだ一年が経過したばかり。今後は物流の実態に合わせながら、センターの機能をもっと向上させていきたい」と語ります。物流も市場や取引先の変化に応じて、臨機応変な対応が求められる時代といえるでしょう。システム運用のさらなる展開が期待される日本ホールマーク様の野火止流通センターです。

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